イタリアといえばワインである。
例えば食事のとき。食卓には当たり前のようにワインが置かれる。ヨーロッパでは水の代わりにワインを飲むなんて言う人もいるけど、まさにそんな感じ。先日友人夫婦とご飯を食べに行ったが、その時は4人で2リットルのワインを空けた。飲みに行ったわけでなく、あくまで食べるのがメインの食事である。
最近は若い人を中心にワインの消費量が減ってきたとか、ピッツァにはワインよりビールをあわせる人が多いなんて話も聞くけど、やっぱりそれでも飲む頻度はワインが一番多い。
さて、そんなワイン大国イタリアには量り売りのワイン屋がある。
ワイン屋、というかまあエノテカなんだけど、とにかく店内に大きなタンクが並んでいてリッターいくらで販売している形態の店。客はそこに空のガラス瓶やペットボトルなどを持ち込み、好きなワインを満たして帰っていく。
値段もリッターあたり2〜4ユーロ程度と、スーパーでボトルワインを買うより安い。なんせ食事のたびにじゃぶじゃぶ飲むから、気取った小難しいワインよりも安いほうがありがたいんである。

ペットボトルに入れると、ほんとに「ちょっと汲んできた」感じがして面白くなる
妻によると、イタリアでは1本2ユーロ以下のワインは悪酔いするらしい。そんなに安いワインあるのかって最初は驚いたけど、スーパーでは普通に見かける。ガラスの瓶に入って、蓋もちゃんとコルクだけど1本1.50ユーロとか。そして確かに、そういうワインはたくさん飲むと頭が痛くなってくる。
でも、量り売りのワインは安いけどそういう心配がないのもいい。「余計なものが入ってないからだよ」とエノテカの店主は言うけど、実際そうなのかもしれない。たくさん飲んでも、体が重くなっていく感じがない(そしてじゃぶじゃぶ飲める)。
エノテカにはたいてい赤白ロゼ何種類かずつあるから、店に入って「白は今日何があるの?」とか聞けば「シャルドネとピノ・グリージョだよ」なんて感じで教えてくれる。何言ってんのかわからないって人は、辛口がいいとか、重いのがいいとか好みを言えば店主が適当に見繕ってくれる。
それでも分かんないって人は「味見させて」って言いましょう。グラスにちょびっと入れてくれます。
ちなみにイタリア語ではこういう量り売りのワインを「ビーノ・スフーゾ(vino sfuso)」という。sfusoとは小分けとかバラ売りといった感じの意味である。
イタリアでもし見かけることがあれば、ぜひお試しあれ。500mlくらいの水のペットボトルでも快く入れてくれるので、ホテルでの晩酌用にもいいと思います。