そろそろインフルエンザの季節ですね。

そんなわけで、先週注射を打ってきた。実はイタリアに住むようになって、これが初めての予防接種。いつも「まあいいか」の精神で放置していたのだけど、そのツケが回ったのか去年は家族全員が順番にかかってしまい、懲りたのだ。

余談だけど大人になって40度超えると本当に苦しいのね。頭から血が吹き出すかと思った。

イタリアでは、インフルエンザの予防接種は薬局で売られている。ワクチンが入った状態の注射器を自分で購入して、ホームドクターに打ってもらう。多分、自分で打てる人は自分で打ってもいいんだと思う。

インフルエンザのワクチン、箱のまま冷蔵庫に入って売られている

自分で注射打つって……まじか? という感じだけど、イタリアでは別にいいらしい。スーパーでは空の注射器が束になって売られているし、薬局には注射器に入れる用の薬剤だけがあったりする。ちなみにホームドクターによると、薬剤師とか、なんだったら診療所の受付にいるおばちゃんに頼んでもいいらしい。「ちょっとチップを払えば打ってくれる」のだそうだ。

診療所に行くと、ホームドクターも受付のおばちゃんもいなかったが、担当医ではない別のドクターがいた。ワクチンを買ったが注射が打てないことを話すと「じゃあ僕が打ってあげるよ」とのこと。「受付のおばちゃん」がいなかったことにまずは安堵する。

話しぶりからするとおばちゃんきっと慣れているんだろうけどね。なんかちょっと怖くて。とりあえず最初は本職の方に頼めたことにホッとして待っていると、ドクターは手早く消毒用のアルコールを準備して、絆創膏も用意して注射針を手にとった。

だけどね、甘かったよね。

ドクターはおもむろに注射器を持ち、5センチくらいの距離から狙いを定めて一気に針を差し込んできた。角度は90度。ダーツを投げるときと同じ動きだったと言うと、おわかりいただけるだろか。

えっ、えっ……? と思う間もなく薬剤は注入され、小さな絆創膏を貼っておしまい。不思議と痛くはなかったけど、いや逆になんで痛くないのか全く分からんけど、何だ今のは……? てっきり、最初は針を肌に当ててゆっくりと差し込んでいくものと思っていたから度肝を抜かれた。

そう言えば、今これを書きながら、娘が1歳のときの予防接種も注射針を90度に打ち込まれていたことを思い出した。これがイタリア流の注射針の打ち方なんだとすると、知りたくなかった事実である。来年からちょっと躊躇しそう。

ちなみに、その様子を間近で見ていた注射嫌いの妻が貧血を起こしその場で倒れたのは、また別の話。